森林・林業 用語集
森林・林業の専門用語を、分野ごとに深掘りして引ける用語集です。各用語は「定義・解説・関連用語」で構成され、関連語をたどって理解を広げられます。用語・分野は順次追加していきます。
33 語
森林生態学
更新・遷移 20語
- 一次遷移primary succession溶岩流跡や火山灰地、後退した氷河の跡地など、土壌も種子もない裸地から始まる遷移。
- ギャップ更新gap regeneration / gap dynamics高木の枯死や倒伏で林冠にできた隙間(林冠ギャップ)に光が差し込み、そこで稚樹が成長して樹木が入れ替わる更新のしくみ。
- 極相climax遷移が進んだ結果、種構成が大きくは変わらなくなった比較的安定した状態。クライマックスともいう。その状態の森林を極相林という。
- 更新補助作業regeneration assistance / site preparation天然更新を確実にするために、種子の発芽や実生の定着を助ける人為的な作業。地表の落葉層やササを取り除く掻き起こし(地表処理)が代表例。
- 種子散布seed dispersal種子が母植物から離れた場所へ運ばれること。運び手によって風散布・動物散布・重力散布・水散布などに分けられる。
- 人工更新artificial regeneration苗木の植栽(または種子のまき付け)によって、人為的に次世代の森林を成立させる更新方法。天然更新に対する語。
- 遷移ecological successionある場所の植生が時間とともに移り変わっていく過程。裸地から草本・低木を経て森林へ、といったように、構成する種が順に置き換わる。
- 先駆種pioneer species攪乱後の裸地や明るい環境にいち早く侵入・定着する種。パイオニア種ともいう。遷移の初期段階で優占する。
- 前生稚樹advance regeneration上層木の伐採前から、すでにその林内の林床に生育している稚樹。伐採後の更新の担い手になる。
- 耐陰性shade tolerance弱い光の下でも生育できる性質。耐陰性が高い樹種は暗い林床でも育ち、低い樹種(陽樹)は強い光を必要とする。
- 稚樹sapling実生が成長し、幹が立って若木になった段階の樹木。芽生え(実生)と成木の中間にあたる。
- 天然下種更新natural regeneration from seed母樹から落ちた種子の発芽・定着によって、天然に次世代林を成立させる更新。天然更新のうち種子(下種)由来のもので、萌芽更新と対をなす。
- 天然更新natural regeneration植栽によらず、その場や周囲の樹木がつくる種子・萌芽・前生稚樹から次世代の森林を成立させる更新方法。植栽による人工更新に対する語。
- 二次遷移secondary succession伐採跡・山火事跡・耕作放棄地など、すでに土壌が残っている場所から始まる遷移。
- 二次林secondary forest伐採や山火事、耕作放棄などの攪乱を受けたあと、二次遷移や人の手入れによって成立した森林。原生林(一次林)に対する語。
- 萌芽更新coppicing / sprout regeneration種子ではなく、伐採後の切り株や根から出る芽(萌芽)によって次世代を再生させる更新。栄養繁殖による天然更新の一形態。
- 母樹seed tree種子を供給する成木。とくに天然更新で、次世代の種子源として伐採せずに残す木を指す。
- 埋土種子soil seed bank発芽せずに土壌中で生きたまま休眠している種子の集まり。適した条件が整うと発芽し、更新の供給源になる。土壌シードバンクとも呼ぶ。
- 実生seedling種子が発芽して育った、ごく若い個体。芽生えの段階の植物を指す。「実生から育てる」のように、種子由来であることを示す語としても使う。
- 林冠ギャップcanopy gap高木の枯死・倒伏・枝折れなどによって、森林の林冠(樹冠のつながり)にできた隙間。そこだけ林床まで光が届く。
群集・種間関係 13語
- 階層構造stratification森林などの植物群落で、植物の葉群が高さの異なるいくつかの層に分かれて重なっている垂直方向の構造で、層状構造ともいう。森林では一般に、上から高木層・亜高木層・低木層・草本層・コケ層に区分される。
- 競争排除則competitive exclusion principle同じ限られた資源をまったく同じように利用する2種は、安定した環境のもとでは長く共存できず、競争に劣る種がやがて排除されるという原理。ガウゼの法則とも呼ばれる。
- 菌根mycorrhiza植物の根と菌類(菌根菌)が結びついてつくる共生体。菌は土壌中に広げた菌糸で水分や養分、とくにリンを吸収して植物に渡し、植物は光合成でつくった炭素化合物を菌に与える、相利的な関係が基本となる。
- 種間競争interspecific competition異なる種の個体どうしが、光・水分・養分・空間といった限られた資源をめぐって奪い合う関係。同種の個体間で起こる種内競争と対をなす概念で、どの種が生き残り優占するかを左右する。
- 種子捕食seed predation動物が植物の種子を食べ、多くの場合その発芽能力を失わせること。母植物についているうちの散布前捕食と、散布された後の散布後捕食に分けられる。
- 種内競争intraspecific competition同じ種の個体どうしが、光・水分・養分・空間といった限られた資源をめぐって奪い合う関係。資源の要求や利用のしかたがほぼ同じであるため、競争は激しくなりやすい。種間競争と対をなす概念で、個体群の密度や個体サイズのばらつきを左右する。
- 食害herbivory動物が生きた植物の葉・芽・枝・樹皮・根などを食べること。現象としては植食と呼び、食べる側を植食者という。「食害」は植物側や人の利用から見て、被害として捉えた呼び方である。
- 植物群落plant communityある場所に一緒に生育している植物の集まりを、種の組み合わせや外観・構造のまとまりに注目してとらえたもの。単に群落ともいう。
- 生態的ニッチecological nicheある種が存続・繁殖できる環境条件の範囲と、その種が利用する資源や群集内で果たす役割をまとめて表す概念。「生態的地位」とも訳され、単に「ニッチ」とも呼ばれる。場所そのものではなく種の側の性質を指す点で、生息場所(ハビタット)とは区別される。
- 送粉pollination花粉が雄しべ(裸子植物では雄花)から、同種の雌しべの柱頭(裸子植物では胚珠)へ運ばれること。花粉がたどり着くこと(受粉)そのものよりも、運ぶ過程や運び手に着目した言い方で、運び手によって風媒・虫媒・鳥媒などに分けられる。
- 相利共生mutualism異なる種の生物どうしが互いに利益を受け合う種間関係。双方がプラスの影響を受ける点で、一方だけが利益を得る片利共生、一方が損をする寄生・捕食、双方が不利益を受ける種間競争と区別される。
- ニッチ分化niche differentiation共存する種どうしが、利用する資源や生育場所・時期などの点で異なる生態的ニッチを占めること、またはその違いが生じる過程。資源分割とも呼び、特に生育場所の違いに注目したものを「棲み分け」と呼ぶこともある(今西錦司の種社会論にもとづく「すみわけ」とは同じ意味とは限らない)。
- 優占種dominant species生物群集(森林では主に植物群落)の中で、個体数・被度・現存量などの量的な指標で大きな割合を占め、その群集の構造や外観を特徴づける種。同程度に優勢な種が複数あれば共優占種(codominant species)と呼ぶ。
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