食害(herbivory)
動物が生きた植物の葉・芽・枝・樹皮・根などを食べること。現象としては植食と呼び、食べる側を植食者という。「食害」は植物側や人の利用から見て、被害として捉えた呼び方である。
解説
植物と動物の「食べる—食べられる」関係の一つである。種子を食べることも植食に含まれるが、種子捕食として区別して扱われることが多い。植物を丸ごと殺すとは限らず、組織の一部を失わせて成長や繁殖を低下させる場合が多い。森林ではガ類の幼虫などの食葉性昆虫、枝葉や樹皮を食べるシカ、枝先や冬芽を食べるノウサギなどが代表的な植食者である。背の低い実生や稚樹は大型哺乳類の口が届く高さにあり、影響を受けやすい。シカの密度が高い地域では前生稚樹や下層植生が失われて天然更新が妨げられ、階層構造の下層が貧弱になる例が各地で報告されている。また、好んで食べられる種ほど不利になりやすいため、食害は種間競争の優劣を変え、食べられにくい植物が増えるなど優占種や種組成を変えうる。植物側はとげや化学物質による防御、食べられた後の再生力などで対抗する。