ニッチ分化(niche differentiation)
共存する種どうしが、利用する資源や生育場所・時期などの点で異なる生態的ニッチを占めること、またはその違いが生じる過程。資源分割とも呼び、特に生育場所の違いに注目したものを「棲み分け」と呼ぶこともある(今西錦司の種社会論にもとづく「すみわけ」とは同じ意味とは限らない)。
解説
競争排除則のもとで多くの種が共存できることを説明する基本的な考え方である。ニッチが異なれば種内競争が種間競争より強くはたらき、共存が安定しやすい。分化の軸には光・水・養分などの資源、尾根から谷への地形などの空間、開葉や成長の季節などの時間がある。森林で特に重視されるのは光で、耐陰性の違いにより、大きな林冠ギャップでは先駆種が、小さなギャップや林床では耐陰性の高い樹種が有利になるとされる。成木の要求が似ていても、発芽・定着に適した条件が種ごとに異なる「更新ニッチ」の違いが共存を支えるとする見方もある。ただし樹種の多様さを資源や生育場所の違いだけで説明するのは難しく、病原体などによる密度依存効果や攪乱も共存の仕組みとして併せて論じられる。