送粉(pollination)
花粉が雄しべ(裸子植物では雄花)から、同種の雌しべの柱頭(裸子植物では胚珠)へ運ばれること。花粉がたどり着くこと(受粉)そのものよりも、運ぶ過程や運び手に着目した言い方で、運び手によって風媒・虫媒・鳥媒などに分けられる。
解説
温帯の森林では、スギ・ヒノキ・マツ類などの針葉樹や、ブナ・ナラ類・カバノキ類といった林冠をつくる高木に風媒が多い(同じブナ科でも、クリやシイ類は主に虫媒とされる)。一方、サクラ類やトチノキなどはハナバチ類をはじめとする昆虫に花粉を運ばせ、熱帯林では動物による送粉の割合がさらに高い。動物による送粉では、多くの場合、植物が蜜や花粉を報酬として与え、運び手が花粉を運ぶという相利共生が成り立つ。送粉がうまくいくかどうかは結実量を左右し、母樹の種子生産を通じて種子散布や更新の起点になる。また花粉の移動は個体間の遺伝子の行き来でもある。自家受粉では種子ができにくい、あるいはできても充実しにくい樹種では、伐採や分断で同種の個体がまばらになると、他個体からの送粉が不足して結実が落ちることがある。